SENSIBILITY AND WONDER

ART EXHIBITION

Date – 2017. 8. 26. –  11. 9.
Artist – JOHN DOVE AND MOLLY WHITE
Curation – KLEINSTEIN CO., LTD.
Sponsor – SHARP COOPERATION, NOVESTA JAPAN OFFICE, NOAVENUE
Gallery – DIESEL ART GALLERY

ABOUT PROJECT

センシビリティ・アンド・ワンダー – ストリートファッションとパンクの原点を求めて
。

クラインシュタインのキュレーションにより、ジョンドーヴ&モーリーホワイト(John Dove and Molly White)による日本初の個展をDIESEL ART GALLERYにて開催しました。本展では、ジョンドーヴ&モーリーホワイトの作品とともに、ストリートファッションやパンクムーブメントの原点を振り返る構成となっています。Tシャツというアイテムは、ストリートファッションのアイコンです。しかし、その歴史はジョンドーヴ&モーリーホワイトが1968年にロンドンのアトリエで“WONDER WORKSHOP”というレーベルでフルグラフィックのプリントのTシャツを制作したことが最初の起源と言われています。二人は、プリントの技術と独自に開発したテキスタイル用のインクを利用することで、アートワークを紙やキャンバスにプリントするのではなく、手頃な価格で街中で着られるTシャツにプリントし、これまでキャンバスやポスターにしか存在しなかったイメージを、Tシャツというメディアを通して世界中の人々に伝えるきっかけを与えました。

「Tシャツは資本主義の現代社会から生まれた、一種の社会主義革命である。Tシャツは誰のものでもある。 ポップなポスターよりも個人的で、歌よりも痛烈な普遍的な言語の一部でもあるのです」
“The T-shirt is a socialist revolution born out of a product of the capitalist modern world. The T-shirt belongs to everyone – part of a universal language – more personal than a Pop poster, more poignant than a song…” John Dove and Molly White 2011

ジョンとモーリーは、パディントンの廃墟と化した大きな工場「チップナム・ハウス」にスタジオを構え、詩人、作家、画家、映像作家、デザイナーなどのアーティストたちとともに様々な実験的プロジェクトを行っていました。同じ頃の1960年代後半、イギー・ポップ(Iggy Pop)率いるザ・ストゥージズ(The Stooges)やルー・リード(Lou Reed)のベルベット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)などのミュージシャンがニューヨークで人気を博し、大西洋の両岸のラディカルな文化が徐々に交流し、パンク・ムーヴメントの導火線に火が付き始めます。

1970年から1972年にかけて、現在のヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)の「ワールド・エンド(Worlds End )」があるキングス・ロード430番地に「パラダイス・ガレージ(Paradise Garage)」というブティックが存在しました。オーナーのトレヴァー・マイルス(Trevor Miles)のもとには、ジョンやモーリーのほか、ヴィヴィアン・ウエストウッド、マルコム・マクラーレン、シド・ヴィシャスなどがよく集っており、その店は当時のロンドンの重要な社交場でした。パラダイスガレージの店頭には現代のストリートファッション、パンクファッションの源流となるアイデアが多数並んでいました。アンチファーのメッセージを表現した、ヒョウ柄、トラ柄のプリントをシルクスクリーンで施したジョンとモーリーのTシャツもその一つです。ポップアート、ダダ、シュールレアリスム、ロックンロールなど、様々なアイデアをミックスしたジョンとモーリーは、Tシャツというメディアを通すことで、社会で起きていることへ即座に反応し、それを表現するシステムを作り出すことに成功しました。彼らの作品は70年代以降のストリートファッションのアイデアの源となり、最終的にパンクファッションの原点となっています。ジョンとモーリーは現在もコンピュータを駆使し、精巧なドローイングとテクニックに支えられたプリント制作を精力的に続けています。彼らの50年に渡る芸術活動の中で一貫したテーマは、現状への反骨精神とユーモアです。

本展覧会「センシビリティ・アンド・ワンダー(SENSIBILITY AND WONDER)」では、ジョンとモーリー・ホワイトの作品とともに、当時の出来事や二人と同じ時代を歩んできた人々をともに振り返ります。特に彼らが生み出した、60年代から70年代に生まれたスクリーンプリント、そしてコラージュ、新作の彫刻などを通して、現代では当たり前になったいるアイデアの原点を、そして現代アートやファッションの手法を考える機会を提供します。展示されるのは二人の一瞬のひらめき、瞬間的の感覚、不思議な感覚から生まれた作品です。

 


Photography by YUSUKE KOISHI

JOHN DOVE & MOLLY WHITE

johndove-mollywhite.co.uk
wonderworkshop.co.uk

ノリッジ(Norwich)出身のアーティスト、ジョン・ドーヴ(1943-)とテキスタイルデザイナーのモーリー・ホワイト(1944-)は、1964年にロンドンでアートデュオを結成。パンク・ムーヴメントの提唱者と言われるヴィヴィアン・ウエストウッドやマルコム・マクラーレンに影響を与えたことで知られている。60年代に「WONDER WORKSHOP」というレーベルでフルプリントのTシャツやジャケットを制作。現在の「Worlds End」があるロンドンの「Paradise Garage」やニューヨークの「Ians」などのブティックで販売されていた。グラフィックTシャツは、彼らの作品を通してファッションアイテムとして認知され、ロンドンを中心に海外でも人気を博し、代表的なファッションアイテムとなる。1976年にはショップ「KITSCH-22」をオープンし、独自のカルトレーベル「MODZART」を立ち上げる。当時、彼らの作ったTシャツやジャケットはイギー・ポップ(Iggy Pop)、マーク・ボラン(Marc Bolan)、ミック・ジャガー(Mick Jagger)、ルー・リード(Lou Reed)、シド・ヴィシャス(Sid Vicious)、ポール・マッカートニー(Paul McCartney)など、70年代を象徴する様々なアーティストやミュージシャンによって個人的に愛用されていた。二人の作品は、イギリスのヴィクトリア&アルバート博物館(Victoria&Albert Museum)、オランダのティルブルフ(Tilburg)の織物博物館(Textiel Museum)をはじめ、ダミアン・ハースト(Damien Hirst)のニューポート・ストリート・ギャラリー(Newport Street Gallery)や世界中の多くの美術館やギャラリーで収蔵されている。2009年にロンドンのポール・ストルパー・ギャラリー(Paul Stolper Gallery)がメインギャラリーとなってからは、ドローイングやコラージュにとどまらず、60〜70年代にTシャツにプリントしていたオリジナル作品をスクリーンプリントした作品を発表し続けている、スクリーンプリントの作品はTシャツをリサイクルした繊維を特別に手漉きして作った紙に行っている。また、近年になって過去に制作したファッションアイテムの復刻も行っており、ルイス・レザーズ(Lewis Leathers)とのコラボレーションでは、1973年の『Raw Power』のバックカバーでイギー・ポップが着用したアイコニックなヒョウ柄のジャケットが再生産され、2013年にはコム・デ・ギャルソンのトレーディング・ミュージアムにてに展示された(小石祐介が企画を担当)。2016年、クラインシュタインによるNOAVENUEプロジェクトをきっかけに、1973年にポール・マッカートニーが着用していたストロベリージャケットを復刻を行った。

John Dove and Molly White Official Website

PRESS

HONEYEE MAGAZINE (Interview by Yusuke Koishi)

TOKYO ART BEAT

GQ JAPAN

HIDDEN CHAMPION

 

Photography by Miki Matsushima

 

Photography by Yusuke Koishi