生命・身体・社会へ―境界を問うアートの新地平

明治大学ジェンダーのセンター設立10周年を記念して、田中洋美(明治大学, ジェンダー研究者)の協力により、ジェンダー研究者で“Thinking Through Fashion”の著者であるアニエス・ロカモラ(Agnès Rocamora , University of Arts London)、 門傳昌章(West Australia University)高馬京子(明治大学)と座談を行いました。

21世紀の多様性と創造性  – デジタル社会の多様性と創造性―アートとファッションの新展開

離散化する社会と意味の相転移 「正しさ」の変容する時代に  – 小石祐介

社会を研究する困難さは、それが我々の世界の時間発展性と関係している。社会現象の一部であるファッションも衣服や個の身体の議論ではなく、人の振る舞い+装いの様相として「様装」という新しい言葉の概念の中で捉えると、近年の社会の社会現象とファッション(様装)の動きが見えてくる。ロラン・バルトが過去に行った記号論的アプローチは、ある時刻やシーン(場所やそのほかの状況)において有効であるが、その有効性は我々の常識がある一定の条件で当たり前であることと同等の有効性である。彼の意図を現代の形で拡張するヒントを探りたいと思う。

本講演の内容は『ファッション、離散化される人間の様装』(ÉKRITS, 2016)に基づいており、2019年11月に公開した英訳、“Designing Nearby, Designing In-distance” ÉKRITS (2019) が講演のベースとなっている。